家具制作鯛工房

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孤雲野鶴。鯛工房代表が綴るブログ。暮らし、生活、家具、社会。

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家具組合は今頃「家具輸出も視野に入れる」だなんて

「家具輸出も視野に入れる」と書かれていた、6月5日('02)付けの「家具新聞 No.1364」(発行:経済通信社)の表紙大見出しを見て驚きました。
「家具産業振興会家具産業振興会」という団体があります。東京国際家具見本市などの事業を主催していますが、改めて国産家具の輸出に本腰を入れるというのです。本年度(平成14年度)の事業計画で確認された事項だそうです。

多くの日本国内の家具メーカーが長い間アジアからの安い家具に押されて喘いでいるのは周知の事実です。日本の家具市場には、アセアン諸国を始め、欧米、中国、ベトナムなどから、安物から高級品まで多量の家具が流入し、国内の家具製造業は苦境が続いていて、我々の工房からさほど遠くない国内有数の家具生産地、福岡県大川市でも倒産夜逃げ自殺などの暗いニュースは、ここ数年来、しばしば聞きます。

ちなみに、平成14年度1〜3月期の家具輸入額は1005億6400万円余りで、これに対する同期の家具輸出額は、およそ十分の一の118億5300万円だそうです。
(国産との製品価格差がありますから、点数で比べると、ものすごい量が入って来ているはずです)
このインバランスを是正するために同会は、輸出振興事業に力を入れる事にしたそうです。そのため、市場調査員の派遣、アメリカ(NY)、ヨーロッパ(ベルリン)にある「海外共同事務所」(ジェトロ事務所などとの共同)を活用しながら海外家具市場の動向調査、情報収集を行い、国産家具のPRを始め、輸出希望企業を支援していくというものです。今更何をか・・・、というのが私の率直な感想です。

ところで、この団体の設立目的は国産家具の輸出にあったというのをご存知でしょうか?。1957年に「日本輸出家具協会」(Japan Export Furniture Manufacturer's Association)として発足しています。1961 年には「全日本輸出家具工業協同組合」として法人化され、1966年には「全日本輸出家具工業組合」に組織変更されています。名称から分るように輸出振興団体です。よって、この団体が国際家具見本市を開催し、内外のバイヤーを集め、家具業界の振興に努めようとしたのは理解できます。現在、マレーシア始め多くの途上国が国際ファニチャーフェアを開催し始めたのと同様です。その後、1975年に「社団法人国際家具産業振興会」になっています。
社団法人化されて以降、本来の設立目的である輸出業務がおろそかになっていったのか、法人化を境とし、そのころから日本は急激な経済発展を遂げていきますが、そのために内需だけで十分な利益が確保され、輸出の意味が失われたのか、あるいは、同振興会の主要40数社の構成メンバーはメジャーなメーカーですから、当然輸出は行っていて、他社の輸出の心配までしてられなかったのか、詳しい事情は知りませんが、なにしろ本来の設立目的であった輸出振興はなおざりだったのです。

話は変わりますが、「社団法人全国家具工業連合会」は、国内メーカーだけによる見本市を今年度中をめどに開催する意向で、そのため「特別プロジェクトチーム」を編成し見本市開催実現に向けた協議と具体的な作業に入るそうです。同、6月5日('02)付けの「家具新聞 No.1364」より。
この団体も、アホなことやってんなぁというのが率直な感想です。
海外のメーカーを締め出し、国産家具の優秀性をアピールし、売込みを図るという単純で無意味で視野の狭い戦略ですが、大胆に言えば、現実はこのような催しを行っても、買うに値するベネフィットを国産家具が備えていないというのは、バイヤーもコンシューマーも分っているというのがこの団体のトップの連中は理解できないのでしょうか。
健康家具といえばそれっ、ユニバーサルといえばそれっ。その結果生み出された、低いテーブルに回転機構の付いたチンケな椅子の組み合わせで、ここマレーシアでもそれがジャパニーズスタイルと思われていて、ワタクシにはそれがどうにもダサくて惨めで情けないのです。日本の伝統美はそんなチンケなものではないのです。そのような情けない家具を生産し、国内メーカーだけによる見本市など開催しても、日本国内の縮小過程にある国産メーカーの小さなシェアの取り合いをするだけです。
今後、世界の工場といわれる中国が本格的に生産と輸出を始めたら日本の家具メーカーはどうなっていくのでしょう。

ここマレーシアでも、あるいは台湾でも、中国系家具メーカーはもっとグローバルです。一部企業は、欧米のデザイナーを使っています。工場は中国にシフトし始めています。材料はゴムを捨て北米材を使い始めました。マーケットは全世界です。宣伝手段はミラノ、ケルン、トーキョウ、ハイポイントなどのインターナショナルファニチャーフェアです。さらには40フィートコンテナ混載可という少量多品種オーダー対応へ移っています。
また、日本のインテリアショップがアジア、イタリアなどにオーダーし、自らのオリジナルブランドでオリジナルファニチャーを売っていく流れは今後ますます太くなっていくでしょう。彼らが独自に世界のフェアに出展する日も近いし、すでに出展したショップや個人を私は知っています。アジアエリア向けの家具雑誌は、アジアのメーカーに対し、日本の最近の流れに対応するようサジェストしています。これは、わくわくする流れです。この流れについていけない日本国内のファクトリーの未来は厳しいのではないかと思います。

家具工業連合会のように内に閉じる時代ではないのです。日本の中小を含めた家具メーカーも、体質が古いといわれている日本の家具業界を象徴する、空焚きして割れた五右衛門風呂の釜ような団体の、グローバル化の時代に収縮するようなネガティブなアイデアに付き合わず、当てにせず、自らの力で世界に目を向けるべきです。今頃輸出を視野に入れるような国際家具産業振興会の方針と効果などもほとんど当てにはできません。
発表の場は世界。工場はアジア。日本品質は絶対の強みです。その気になれば、日本の家具メーカーの物作りが負けるわけがありません。
(2002/08/03)


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