家具制作鯛工房

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孤雲野鶴。鯛工房代表が綴るブログ。暮らし、生活、家具、社会。

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家具のディテール

Carl Hansen & Son / ダイニングチェアー(CH-36)

画像:carl hansen & son 社製ダイニングチェアー

Carl Hansen & Son 社(デンマーク)製のダイニングチェアーです。デザインはハンス ウェグナー。シンプルで加工コストを押えたチープモデルです。
デザイン的にそれほど優れた椅子だと感じないのは、後脚が垂直のせいかもしれません。しかも、後脚は丸棒で背もたれ部にテーパーを付けてあるために上部が狭く、安心感や座り心地が良いという印象を無くしています。これはコスト優先の処理でしょう。これもデザイナーに与えられた重要な役割の一つです。デザイナーは高いレベルで様々な要求事項に答えていかなければなりません。ちなみに、次のモデルCH-37では、後脚のテーパーがゆるく、この椅子よりも安心感を与えています。

しかし、座ってみると予想に反して掛け心地が良いのは、平行に積層された成型合板製の背板が、予想より深い位置で背中を支えてくれるためです。
短時間座ってみる場合は掛け心地がいいと感じますが、長期間使うと、後方への傾斜がありすぎてテーブルや机に向かうたびに上体を起こさなければならず、掛け心地、使い勝手がいいとは感じません。座面に傾斜が付いているということもその原因の一つです。ラッシュシートの場合は臀部をホールドしますので傾斜角はゼロか、若干でいいと思いますが、この傾向は「Yチェアー」など他のウェグナーの作品も同様です。基本的な感覚が違うのだと思わざるを得ません。
写真はかなり使い込んだCH-36です。座面のラッシュがかなりへたっています。

画像:carl hansen & son 社製ダイニングチェアー/シート前
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ラッシュを取り去ったところ。さすがにフレームはバランスが良く、非常に綺麗です。
ラッシュはかなり強く引っ張って張りますので、シートレールは太くするか、幅を取らないとテンションで曲がります。その対策としてレールを幅広にし、美しい形状に成型しています。

画像:carl hansen & son 社製ダイニングチェアー/シート側面
spc

シートレールのサイズ
 幅 : 37.5mm
 厚さ: 25mm
 柄径: 20mm

シートレールを幅広にすると、内側のエッジが身体にさわります。それを防ぐために内側へ傾斜させています。写真(一番上)でも内側のエッジが出ているのが判ります。
以下は傾斜角の実測値です。それほど正確ではありませんが参考にはなると思います。

画像:carl hansen & son 社製ダイニングチェアー/シート上面

シートレールの傾斜角
 前: 8°
 後: 3.5°
 側: 7°(左右の平均値)

上面から見たシート部分。本当に綺麗なバランスです。ラッシュの捨て編みをしています。見にくいのですが、右側のシートレール上面には木取り時の鋸目が残っているのが判ります。
このシートレールの形状のもう一つのメリットは、ラッシュが後へずれて行かないことにあります。
この椅子の座面は台形です。通常台形の場合、使用するにしたがって、ラッシュは後へずれていきます。しかし、このような形状のシートレールの場合、中ほどが前よりも広くなっているため、ラッシュ全体が後へはずれていかないのです。後方は多少ずれていきますが、問題にならない程度です。

捨て巻き部分の拡大(左側)。巻き始めと巻き終わりをネイルで固定しているのが判ります。右は規定の所まで捨て巻きをし、本編みに入ります。
以下、各部の参考寸法。

画像:carl hansen & son 社製ダイニングチェアー/ラッシュ捨て巻き

シートの傾斜角: 3°
背持たれの角度: 100°
シートサイズ(計測:最外形)
 前: 526mm
 後: 468mm
 側: 418mm
シート高(前縁): 430mm
全高: 785mm
脚の直径: 42mm
丸貫の直径: 25mm


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