家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

プロがいない

日本にはプロがいない。アメリカに長くいた友人が帰ってきてしばらくは言っていた。寿司屋の板前とか、大工だとか、すぐに連想できる職人のことを特に指しているわけではない。そこらで我々が日常的に接するスーパーのお姉さんだとかタクシーのお兄さんのことだ。つまり、商品知識が無いとか、接客態度が悪いとか、店員なら店員の、サービス業に携わる人間として必要最小限のことがなってないという。この辺のプロ意識というのがアメリカとではぜんぜん違うというのだ。つまり、米国では仕事のジャンルを越え、消費者の、あるいは利用者の身になった、自信と誇りに満ちた接客態度、およびプロ意識があるというのだ。
まったく、アメリカに行ったことのない僕も同感する(向こうの事は実感としては解らないが)。 すぐに思いだすのは旧国鉄のキップ切りのにいちゃん、おっさん達の態度の悪さである、それが民営化して間もない頃、朝のJR山手線大崎駅の改札を通過しようとした僕に、潔く元気な声で「おはようございます」と言うのには驚いた。先日まで暗く、無表情でストにばかり熱心な改札係がである。僕が関東に居る頃は小田急線沿いであり、小田急の社員教育は徹底しており、改札係の「おはようございます」にはきちんと返礼するワタクシではありましたが、そのときばかりは「なんだ、お前らだってやればできるんじゃないか」と、かえってむっとしてしまったのだ。

八王子市片倉、国道十六号を降り、細い田舎道をしばらくいくと、こんな所にという場所に高木理容店はある。僕のヘアースタイルを見兼ねたリーゼント一筋の友人が紹介してくれたのである。時間がかかる事、ちょっと変ってるけどそれさえ我慢すればこんなすごい床屋はないという。床屋での注文に慣れてないと言う僕に「うーん、じゃあオレとおんなじにしてくれと言えよ」というのだ。店の前にはツッパリ風の改造を施したダックスやシャリー(当時の原チャリのスタンダード)が止められており、およそ清潔とは言い難い待合室には、まるで忍耐とは無縁そうなリーゼントきめあげたにいちゃん達が青筋を立て、いらいらを押し殺し、ひたすら順番を待っていた。
友人と同じにということで、リーゼント風になるのは間違いないのだが、こまかい事はいっさい言っていない。結果としては、刈り上げ、アイパー仕上で前髪の部分だけパーマという手の込んだものだった。それまでにもアイパーはやってもらった事はある、たいがいはざくっと挟んでぐっと折って次、という感じでやっていくのだが高木理容店は違った。髪の毛の一畝、あるいは一列と言う感じで折って行く、これでは時間はかかるのは当然である、しかし、保ちは桁違いだった。そして刈り上げの腕が逸品だった。出来上がった僕の満足感に満ちた喜びの感情を理解してもらえるだろうか。それまで一度なりと理容店、美容院で味わった事のないことだ。いつも挫折と絶望感で店を後にしていたのだから。そして、それが店のせいではなく自分の頭の格好、容姿に起因するのだと思い込んでいたのだから。それが、技術でカバーできるといということがわかった。ヘアースタイルを最も気にする若いツッパリにいちゃんが詰めかけるというのもわかった。ただ、困った事に刈り上げの最中、うるさく飛回る蝿をハサミでマジに切ろうとするのだ。そういう変なところはあるのだが、ハサミの研ぎの勉強にも自主的に行くほどの勉強家なのだ。(ハサミの研ぎも、ねじれた刃を持つモノもあるしけっこう難しいらしい)。
関東を離れる事になり、今後の床屋をどうするかはマジに心配事だった。僕に高木理容店を紹介してくれた友人は大学を卒業し、八王子で美容院をやっている。結構、若いツッパリ連中で賑わっている。そして、自分の髪をやってくれる高木理容店のそばからは離れられないといっている。それ以後、僕の心配どうり、なかなかこれといった床屋にあたったことはない。プロと言うとすぐに僕は高木理容店を思いだしてしまうのだ。

話がだいぶそれてしまいましたが、僕等の仕事上でプロが居ないな、あるいは困るなと思うのは機械屋、研摩屋ではないでしょうか。まったく、良い機械屋、研摩屋にはなかなかお目にかかれません。かんじんの整備、調整は程々で、色だけきちんと塗ってくるのですから困ります。色なんかどうでもいいから、その分安くしろと言いたいわけです。さらに、機械について一言いいたいのは、たとえば宮川だから良い、平安だから良いだの悪いなどということを耳にしますが、何処がどんなふうに良いのか、きちんとしたデーターなり裏付けなり、我々自身がきちんと確認しているのかということがあります、それをぬきにしてどのメーカーが良い、あるいは悪いという話を鵜のみにしては危険だと思うのです。あるいは取り立てて良くはないけど、我々が使うには十分という事もあるかも知れません。そういう確認をしないでいるから、機械屋がこれはなになにですから良いですよ、値段もそれなりにしますけどね、後々良いですよなどという、なんだか良くわからない理由で高く買わせられたというようなことが起きるのではないかと思います。

我々はもっと賢くなる必要があると思います。良い機械屋、相手にしてはならない機械屋、良いサービスエンジニヤ、良い研摩屋、あるいは、あのメーカーは良いといわれるだけあってやはりここが違うというような情報があればぜひお知らせ下さい。紹介していきたいと思います。

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