家具について (3) ―家具の實用工作法より
材料に關しては家具の利用的觀點より材料の構造・組織・性状等を考察し、それらを利用的處理に誘導し以て家具材料に決定するのである。例えば木材は肉眼的及び顯微鏡的檢査による構造より、木理・材色・光澤・水分・水分の發散及び吸収・木材の収縮及び膨張・狂・硬度・強度・自然耐久力・瑕瑾(かきん:欠点の意)等を論じ、次いで木材の處理として木材乾燥法、保存法等に及び市場の形態を述べ家具材料に決定さるゝのである。接合材料然り、塗装材料亦然りである。
構成に關しては決定された材料の物理的性状と化學的性状とを機械的に處理して堅固なる構造となし家具構成を終るのであるが、この構造範圍には家具需用者の感情に滿足を與(あた)ふる準備を必要とするのである、即ち形態並びに色彩の範圍に行はれる準備である。
例へば木材の強弱に於て構造上不可なしする家具も需用者が・て以て構造上危惧の念を抱き或いは不快の感を生ずるが如きは家具の全構成上不可とする所である。かゝる場合には美學上見地より訂正さるゝものなのである。
今日迄世上一般に行はれおる家具を美學上より考察すれば優劣の差甚しきものあるは當然であるが、材料の力學上より表はされた形状、寸法より遥に美的要素を含むだ形態寸法に構成されてゐるものゝみである。
尚實用性價値ある工作法としては商業的因子を忘れることは出來ない、家具は一般に商品として取扱はるゝものであるから經濟線上に常に在ることで、材料の選擇・形状・寸法に於て商業的因子を必要となすは論を俟(ま)たない。
加工に關しては機械・工具の材料的組織・構造等を知り合理的機械的作用を以て加工すべきである、例へば組立工具の鋸・鉋・鑿の如きは鋼の組織・構造を知りて材質を選定し、工具の機械的構成を合理性となし、以て最も優れたる機械的操作をなして加工すべきである、殊に組立工具は使用者に於て研摩仕上をなすものなれば一層工具に對する基礎的知識を必要とするのである。