家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

家具について (5)

次に、前号でも少し引用しましたが、「幕末からの椅子のデザイン小史」という、日本の洋家具の椅子について、その黎明期の記述がありますので、引用します。多少とも洋家具の流れの理解の手助けになるかもしれません。

■幕末の洋家具

安政の通商条約の結果、品川御殿山の公館を始め、居留地に木造西洋館が建った。そこに住んだ外国人が持ち込んだ家具は、母国の当時の家具様式を伝え、帰国する際には唐物屋などに売ったので、やがて日本人の手に渡った。幕末の志士の写真などに見られる椅子はこのような物だろう。椅子が使われれば修理も必要になる。椅子製作の経験がない日本では、横浜などに移住した中国人の手によって修理や複製が行なわれた。南京椅子の言葉が、このことを物語っている。日本人もやがて椅子製作を始めるが、それは駕篭乗物製造業・外人ガイド・中古道具商・荒物商などから転業した人たちで、箪笥製造などの和家具からの転業ではなかった。

■ビクトリア調の華族の椅子 (明治前期)

文明開花の新政府ができると、天皇や華族の椅子をどのようにすべきかが問題になったろう。そこで採用されたのが英国のビクトリアスタイル(注1)の日本版で、次のようなものがあった。

(イ) 尚古集成館の椅子:明治五年、ビクトリア調、金蒔絵
(ロ) 明治神宮の椅子:明治六年頃、バルンバックスタイル、薩摩杉
(ハ) 日清講和談判の椅子:明治二年〜二十二年、ビクトリア調、金蒔絵
(ニ) 鹿鳴館肱掛椅子:ビクトリア調、漆塗、けんぽなし材、館内で使用

以上(抜粋)が確認できたものだが、宮中にも相当数保管されており、一部が明治村に展示されているほか、大部分は未公開である。
これらの様式は、明らかに中期ビクトリア風で、流入経路は不明だが、戊辰戦争が終了した明治二年から、五年の間に導入され始めた可能性が強い。これらの椅子の材料は 「けんぽなし」 が多く、黒漆塗りの背のフレームには日本的題材の金蒔絵が施される。
明治十二年の錦絵「諸工職業競・テェフル椅子製造」を見ると、ざんぎり頭が手斧(ちょうな)で木取している。おそらく現物を見て複製したのだろうが、複雑な型態を見事にこなした、立派な工芸品である。

■靴のまま昇殿を決断 (明治四年)

新政府の政策として、椅子化が進められたものの、宮中を靴のまま出入にするまでには、いろいろと混乱があったようである。
外国公使やお雇外人の出入が激しくなるにつれ、書院作りの江戸城で、外人との対談の不都合さに困りはて、畳や廊下に敷物を敷き詰め、官庁の椅子化が決定的になった。こうして、官庁の椅子化は、明治十年代には、地方の県庁まで広がっていくが、市民生活はなかなか変らなかった。当時最も進歩的な経営方針をとっていた三井呉服店(現三越)でさえ、二階だけを座売りから立売りに切り替えたのが、明治二十八年、下足をやめ靴のまま入店が関東大震災後の大正十三年である。

■官庁での椅子 (明治前期)

宮中が椅子式になってから、大名屋敷を引継いだ諸官庁でも、椅子や机を使うようになった。その要求に答えたのは、横浜で中国人から椅子の製作法を習った人たちであった。
(以下次号)

注1)ビクトリアスタイル
ビクトリア女王が即位(1837〜)したころからの家具、調度品のスタイルをいい、バロック、ロココ、ゴシック、ルネサンスといった過去の様式を模倣または折衷し、機械生産によって大量に作られた。手工芸の伝統は蔑ろにされ、デザインについての評価はあまり高くなく、悪趣味とさえいわれた。しかし、ビクトリア朝の混乱した、醜悪なデザインを切り裂いて、手工芸への回帰の流れは、その後、ウィリアム・モリスらによって行なわれた、アーツアンドクラフト運動へと展開していく(参:当時の英国は、同国史上、最も輝かしい繁栄の時代だった)。

おわりに

ビクトリア朝の研究が進むにつれ、その時代のデザインが停滞し、陳腐であったわけではなく、優れた工芸品も作られてきたということがわかってきたそうです。アメリカの伝統的家具金物のカタログには、チッペンデールや、クイーン・アンスタイルのものなどに並んで、たいていビクトリアンスタイルの金具もリストされています。

慢性的に経営環境の厳しい我家では、前回に引続き、今回も軽トラの車検をユーザーで通しました。費用は三万少々でした。その他に、ワイパーブレードやエアクリーナーなどの交換部品代が別にかかります(もちろん自分で交換するわけです)。今回もカミさんが受検したのですが、ユーザーで受ける人が結構いたそうですし、検査場は差別感のない雰囲気だったそうです。七月からは、後車検から前車検(先に車検をし、悪い箇所だけ修理するシステム)にかわります、車検制度もだいぶまともになったと思います。

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