家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

家具について (11) 〈番外編・和風について〉

以下、雑誌コンフォルトの中の山口昌伴氏の記事「新和風とは何か」より、和風についての記述部分の抜粋です。

茶の湯をたしなむ庵などは純和風の権化と思われているが、茶の美学の根っこは唐物趣味であり、往年の舶来玩物の世界であって、根は、和風くずしのはしりであった。そんな異国情緒と舶来自慢の道場のなれのはてを純和風などと思いこんで、鑑識眼のなさを怖じるのはみっともない限りではある。
私たちは、和風の何たるかを知ってはいないで、憧れたり、恐れたりしているのである。なんとも奇妙な風景ではある。

じつは、もっと奇妙なことがある。室町時代の和風を崩したのが数寄の系譜だといわれるが、その和風たるや、ほとんど唐風であり、平安時代から奈良時代へとさかのぼるほどに、上層の文化は唐風・韓風・大陸風・半島風の色を濃くし、半島からの渡来人たちの弥生文化にいきついてしまう。唐風・韓風を不純化したものが、あえていえば和風だということになる。不純なる唐風・韓風が和風とは、なんとも情けない結論になる。
ジャパンオリジナルはないのか。
それは、日本文化史をさかのぼるほど東洋舶来文化に源を発することになり、日本文化史をくだるほど西洋舶来文化が源をなしているという始末で、オリジナルを歴史の先に求めるなら渡来人の文化形成の前にさかのぼらねばならず、それは縄文人の文化であり、列島の東北を中心とする先住民の文化であって、今日につながる和風とは異なる文化になってしまう。

つまり、和風文化というものは、どこをはぐっても存在しなかったものである。
日本に和風文化はなかったって?そんなことはない、と誰しも反論したくなるであろう。畳の文化があるだろう。卓袱台という家具があったろう。抽斗のたくさんついた鏡台というものが婚礼家具にあったろう。総桐の和箪笥があるだろう。障子、襖という建具があるではないか。座蒲団があり和服があり、風呂敷があるだろう。
いや、それらはみな舶来したものであって日本のオリジナルな独自のものではない。万能の風呂敷と単能の鞄は、和と洋の運搬具の機能の具現の様式の対比的な例として、図式的に東西比較文化論の話題にされるが、風呂敷の本場は韓国であり、中国でもまったく大風呂敷的な布の用法が見られ、南米ペルーの風呂敷は日本以上に風呂敷的である。明り障子と同じ原理の建具は韓国にもあり、日本独自のものとはいえず、襖はもと唐紙といったことを思い出せば、自信を喪失するに足るであろう。
和服?それを和風の服といいたいのなら、三越百貨店の前身が三越呉服店であったことは、どう処理すべきか。呉服とは、呉越同舟の呉の国の服の意で、いまもその語は完全には死滅していない。和服は洋服に対して最近造語された新語なのである。
畳はもと置敷きのもので、それゆえ縁の華美が見せどころであった。平安時代の宮廷生活を模したとされる雛祭りの最上段、内裏雛の坐する、厚いゆえに尊しとされる、置敷畳が華麗な縁を見せている。その縁の最上級のパターンを高麗縁ということからも、畳の伝来の筋道は推測されよう。韓国李朝の貴人の座具ボリョーは、置敷き畳の原型を最近まで伝えていた。
その畳を敷きつめるのはたしかに日本独自の発明だが、ために折角の縁の立面が見えなくなったことからも、それは畳本来の用からすれば誤用でしかない。その誤用の蔓延が明治末に本格化した新しい出来事であったことは、座敷箒の急激な需用の増大がこのころであったことからわかる。
総桐の和箪笥は関東大震災を機に全国的和箪笥の代表にのしあがった「東京箪笥」(京箪笥にくらべて安物だった)であり、観音開きの扉の中のトレイ状の盆は洋服をたたんで入れる、洋風文化対応のハイカラ収納具であった。
鏡台は抽斗をたくさんつけているところは唐風文化の残影であり、また、軸で鏡を支えて回転できるようになっているものは江戸時代にはなく、これも舶来ドレッサーの洋風くずしのスタイルである。
和風の暮らしの原風景として昔懐かしく想い起こされる卓袱台、その祖型は明治二十四年特許千百八十八号で、洋家具製造のはじまった頃に試みられた輸出用ティーテーブルであり、輸出のため、荷の嵩を小さくするために折脚機構をそなえたものであった。
以上で、さきにあげた「和風」を象徴するとして挙げられた品目は、座布団をのこして全滅した。

座蒲団が純和風と言い張るに値するほどのものか、とは思うが一歩ゆずるとして、座布団一枚をかかえて和風文化ここにあり叫ぶも愚かであって、やはり純和風といえる文化的所産はそうそうは見つからない、ということだけは納得していただこう。
もし、それでも畳、卓袱台、鏡台、桐箪笥、障子、襖、和服、風呂敷等々をもって和風の文化と言いたいのなら言ってもかまわないが、いずれも日本のオリジナルではないということは歴史的な事実である。ということは、和風文化のおおむねのところはガイジンがつくってくれたのであって、あえて日本人の功績をいうなら、そのスタイルをくずしたというところにしかない。

いま誤って和風の象徴とされている、卓袱台、鏡台、桐箪笥の 「和風」 スタイルをティーテーブルやドレッサーやクローゼットから捏造して、堂々和風と日本人をあざむいたのは、おおむね大正時代の職人指物師たちで、彼らこそあっぱれ大正ジャパネスクの旗手たちなのであった。
(以下次号)

■参考文献:コンフォルト NO.11 1993 / 建築資料研究社

おわりに

アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、花粉症などのアレルギー性疾患に良い住環境として、室内の木部についていえば、壁・フローリング材や家具などは無加工の木材が良いということが、厚生省の研究班のまとめた 「アレルギーと住環境」 で報告されているそうです。(朝日新聞 1996 1/14)
無加工という意味は、アレルギーの原因になる接着剤や化学物質を用いた合板やプラスチックを用いない材料ということだそうです。
家具についていえば、無垢材を用い、無塗装仕上げということでしょうか。されば、接着剤はニカワを用い、もしも塗装(表面処理)を施すなら、非化学処理、無添加の天然蝋・天然油脂・天然樹脂・天然溶剤、もしくはオカラ・牛乳・柿シブなどで拭き上げるなど、生協おばさんが諸手を上げて喜びそうな天然指向、自然製品一辺倒になってきそうです。もちろん天然のものでもアレルギー反応はでますが。
ともあれ、特に椅子・テーブルなど、僕は個人的には無塗装もなかなか良いと思っています。輪じみはついてあたりまえ、長い目で見るとかえって良いくらいかも…。

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