家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

はじめに

一度気配を感じ始めると、どどどどと春は訪れるという感じがしています。市内に出かけますと、その暖かさに驚いてしまいます。主婦はトウの立ち始めた高菜を摘み、漬物にするために忙しくしています。この通信も早、六年目に入ります。デク工房の竹野さんが発行していました「黙々」くらい続けることができればと思っていましたが、何とかという感じです。

鉋の調整について 志岐俊明氏に聞く

大川で道具屋を営んでいる志岐さんは、以前、鉋の粗仕込みを日に12から15丁も行っていたそうです。しかも、それは全て手作業によってです。相当苦労をしたそうです。そんな志岐さんに鉋の調整の注意点についてお聞きしました。以下、主な点を述べます。

1.表なじみには紙を接着する
表なじみと鉋身のなじみを良くするため、表なじみに葉書などを接着したほうが良い。みっともないという職人は多いのですが、志岐氏は格好ではなく、葉書を5枚程度接着したほうが良いとおっしゃっています。ただし、刃先部分の密着を良くするために上部、中央部はいくらかそぎ取るといいます。

2.鉋身と台が密着すること。特に刃先部分の押え、鉋身の裏表
表なじみと鉋身の密着には気を使うのですが、押さえと鉋身裏の先端部が離れている場合が見受けられるということです。この場合も、表なじみに葉書などを接着し、余計な部分を削り取って修正します。腕の良い大工さんでも、この部分が空いている人が結構いたそうです。
台に刃をセットした状態で台を玄翁で叩き、キンキンという濁りのない音でもって鉋身と台のなじみをチェックする方法では、肝心な部分の密着は分からないと志岐さんは言います。

3.刃先の耳はきちんと取る
せっかく刃先部分が密着していても、刃先の耳がきちんと取られていない場合、削った鉋屑が押さえと鉋身の間に入り込み、刃先がビビる原因になります。押さえ部分をクリアーするまできちんと刃先の耳を取ります。

4.裏出し
裏出しを行う場合、鉋のしのぎ面を玄翁で叩く位置についてです。刃先近くを叩くのを見ることがありますが、刃先に近い場合、一見分からない割れがハガネに入る場合があるそうです。鉋身を手で持って玄翁で叩き、クリアーな音ではない場合はハガネに小さな割れが入っている場合が多いということです。志岐さんは玄翁で叩く位置をしのぎ面が始まる所にしています。この位置でまったく問題ないし、トラブルフリーだそうです。

5.下端の調整
鉋台の下端の調整です。様々な方が様々な方法を選択しています。かつては建具職人を経験し、道具屋(鉋の仕立て屋)に転身した志岐氏の調整方法です。
志岐氏は平鉋、長台鉋とも、基本的にバグチ(鬼荒:オニアラ)、荒仕工、中仕工、仕上の四種類を使用していました。バグチ(鬼荒)は荒い製材面おおざっぱに均すためのものです。平鉋は基本的に2点接地、長台は3点接地だったそうです。ただし、長台のバグチは頭を若干はねておきます。平鉋でも建具の立て付けの場合は直線を出すために3点接地に調整した鉋を使用したそうです。

志岐さんの下端はかなり大きく取っていたそうです。少し取っても大きく取ってもあまり変わりがないこと、どうせ取るなら大きく取ったほうが作業能率が良いという考えからです(大きく取るといいましても程度問題で、各自の仕事の仕方、癖、経験などで変わってきますが)。

耳も遠く、最近はその程度もひどくなってきており、健康状態もあまり芳しくない志岐さんから、彼の技術についてお聞きすることはこの辺が限界かなと感じています。志岐さんは非常に論理的な方で、鉋にしても各パート意味を問い、彼独自の方法を選択してきていますし、それを検証するだけの仕事量と時間を費やしていていることが理解できます。
人造砥石にしましても特許広報を閲覧し、マグネシア法による製造法を独自に模索するという先進的な方でもあったのです。もう少し早く出会っていれば、私がもう少し早く彼の技術に気がついていればということが悔やまれますが、お話を聞きだすことができたということだけでも感謝しなければなりますまい。今は志岐さんの健康を願うばかりです。

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