家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

はじめに

工房内がくそ暑く、業務用扇風機を買い込んできて、まわしながら作業をやっています。ノリが乾く、図面が飛ぶと、付けたり消したり。墨が見えにくいと、老眼鏡をかけたり外したり忙しいのです。作業能率が上がらなくても、夕べの冷たい発泡酒は昇天ものです。

木材の乾燥と狂い (1) 上田友彦(長野県工業試験場 松本駐在)/谷 進一郎

[T:谷]木工をやっていまして、折角上手くできた品物も、木材の乾燥が不充分だと割れや狂いが生じてしまい駄目にしてしまうこともあります。ですから木材の乾燥が大切なことは良くわかっているつもりですが、木材が乾燥するとはどういうことなのか等、肝心なことについては乏しい経験と生半可な知識しかなくて、誤解していることも多いようです。ところがこれまでの木材乾燥の解説では難解な用語も多く、日常の仕事から遊離したようで把みどころがありません。そこで専門的な難しいところはできるだけとばして、自分で木工をやるときに知っておくべきところを中心にわかりやすく解説していただきたいと思うわけです。

[U:上田]わかりやすくといっても、木材の乾燥を解説するには、どうしても余り耳慣れない用語も使わなくてはなりません。木工でも仕口等については職人用語がそのまま専門用語になっているものが多くわかりやすいのと対称的です。それだけ従来は木材の乾燥が深く考えられていなかったことになるでしょうか。

[T]私たちは目で見えることしか理解しにくいものですが、木材の乾燥とは木材の中の水が抜けることなのでしょうから、肉眼では見えない木材中の水のことから伺いましょうか。

[U]細胞単位の小さなスケールで考えてもらうと、木材中の水は結合水と自由水の二種類にわけられます。結合水は木材の細胞を構成している繊維と結びついています。自由水は木材の細胞の際間にたまっています。木材の収縮・膨張には結合水だけが関わっています。

[T]乾燥するとその木はどうなるのですか。

[U]乾燥していくと細胞単位では最初に自由水が抜けます。その後結合水が抜け始めるわけですが、その点は含水率が約30%です。結合水が抜け始めると木材の収縮が始まります。

[T]その含水率とはどういうものなのですか。

[U]木材の含んでいる水の割合なのですが、次のようにして求めます。

 含水率 = 木材中の水分の重さ ÷ 水分を除いた木材の重さ × 100
 含水率=(木材の重さ-水分を除いた木材の重さ)÷水分を除いた木材の重さ×100

[T]生材の場合、含水率はどのくらいですか。

[U]生材では辺材で120%以上あることが多く、心材では40%から50%くらいです。

[T]乾燥していくと含水率はどうなるのですか。

[U]日本の場合、長い間には外気中で15%前後で安定します。場所によって乾燥したところではもっと下がり、湿潤なところでは18%くらいで止まることもあります。止まったところの含水率を平衡含水率と呼び、特に含水率15%を気乾含水率といいます。

[T]木材が収縮したり膨張したりするのはどうしてですか。

[U]まえにも触れたように木材の収縮・膨張には結合水だけが関わっています。結合水が増えれば膨張し、減れば収縮します。ですから含水率30%以上では木材の収縮・膨張はありませんが、30%以下ですと含水率に比例して変化します。収縮・膨張率は木材の比重と大体比例していて、重たいほど大きくなります。例えば1 メートル巾の板目材で含水率が10%滅ると、比重の小さいキり材では2.3センチ、比重の大きいブナ材では4.1センチ位収縮することになるわけです。木材の板目の巾と征日の巾の収縮・膨張率は大体2対1であり、長さ方向はほとんど変化しません。この違いにより板材のそりが生じます。
(つづく)

[編注]
木工通信1981 No.2〜No.4(編集:相原 誠、角張和敏氏 等)に掲載されていました記事です。乾燥は非常に重要な事柄です。木材の乾燥について分かり易く書かれた記事だと思います。許可を得て再掲いたしました。感謝。

インフォメーション

■木の文化と環境フォーラム及び、同機関紙 「WOODY HIGHLAND」

長野において「木の文化と環境フォーラム」というフォーラムが平成九年三月に発足し、その機関紙が「WOODY HIGHLAND」です。同フォーラムは、(財)長野県テクノハイランド開発機構・アルプスハイランド支部、長野県工業試験場、長野県林業総合センターの呼びかけで発足し、暮らしに根差した木の文化性や有効性の研究、木と環境との関わり研究、木に関わる産業の振興に寄与するという目的で、広く木工関係者や一般などから会員を募集し、約百二十人が参加したそうです。主な活動内容は、研究発表会、講習会、見学会、研修会、セミナー、木工教室、情報誌発行です。年会費:三千円 (個人)、連絡先:長野県松本合同庁舎、松本地方事務所商工課内アルプスハイランド支部、電話 0263-47-7800 / 内線 2843。

九州に住む私からは、長野県は木工が非常に盛んに見えます。このようなフォーラムの発足も、自然な成り行きかもしれませんが、個人的に感じる所を述べます。と言いますのも、九州での工業試験場の木工に関しての活動は、我々が必要とする情報や活動から少し遊離しているように感じているからです。例えて言えば、膨大なエネルギーを杉、桧材に投下して圧密材を作ってまで家具に利用しなくても(あるいはこれに類似するような研究)、ローコストで内装用のクロスに代わる杉板張りの方法を模索したほうが、よほど有効利用に繋がるのではないかと感じますし、研究紀要には、ばかばかしくて載せられないのかもしれませんが、我々には、柄や接着剤の違いによる強度試験結果の方がよほど有用で知りたいのです。
穿った見方をすれば、そうそうたる官の呼びかけで発足した長野のフォーラムも、そうそうたるゆえに、組織の自己目的(自己保存)のための活動という感じがしますが、年会費三千円での個人参加の方々が結構な数いるわけですから、やはりメリットがあるはずですし、積極的に個人参加を呼びかけていますから、小回りのきく研究の可能性があるかもしれません。いずれにせよ、長野県の木工関連施設の活動や、置かれている環境が知りたいと思いました。
同フォーラムは長野県外からの参加も自由です。長野県内の職業訓練校に日本の各地から生徒が集まるように、工業試験場関連の活動も、ある部分、地域横断で客観評価されていく時期かもしれないと感じています。関係者には失礼な発言かもしれませんし、私の認識不足かもしれません。ご意見がありましたらお待ちしています。

■「削ろう会」 について

名古屋の浅草屋工務店の杉村幸次郎氏の提案と、青山鉋店の青山駿一さんの後援で、平成九年二月に発会しました。この会は台鉋を使って、できるだけ薄く、広く、長い鉋屑を競う会です。「削ろう会」は98年4/28現在、三回開催されており、会報は5号まで発行されています。第3回「削ろう会」は全国から170名を超える参加者があり、レクチャーと鉋削り作業の非常に熱気溢れるようすが会報から伝わってきます。会報の内容は、鉋の研ぎ、砥石、鉋刃の製造、鉋削り等について、非常に専門的な記事が並んでいます。日本の職人の凄さ、伝統の凄さを感じます。削ろう会は年会費:¥2000(入会金不要)、会誌は年4回の発行予定です。

■「削ろう会」事務局
〒451 名古屋市西区批杷島 1-6-51 TEL:052-531-5875 / FAX:052-521-7440

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