家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

はじめに

ずいぶん前になります。まだ僕が、神奈川県相模原市の木工所で働いている頃、東京中野にある 「モノモノ」 のショールームで、木考会という集いが月に一度開かれていました。モノモノとは、工業デザイナーの秋岡芳夫さんの提唱で始ったもので、木工品のほか、やきもの、ガラスなど全国各地の様々なクラフトの展示、販売などを行なっているところです。
関東各地から木工をやっている仲間が集り、安酒などあおりつつ、ああだこうだ言い合ってたわけで、なかなか良い雰囲気だったわけです。脳性麻痺児のための姿勢保持具などを作っているデク工房の竹野さんなどを中心に、この会は発足し (違うかもしれません、詳しい推移は忘れました)、開催日に合せ 「黙々」 と言う通信を竹野さんが個人的に発行し、実費で配布していました。その後、僕は仕事の都合で宮城県へ引っ越し、木考会には出れなくなり、しばらくして、会は中断されているという噂を耳にしました。たしかに僕たちも年はくったし、時間も流れたなという感じはしていました。
先日、神奈川県にある友人の工房に行ったときのことです。彼が木考会通信なるものを出してくるわけです。なんと木考会が再開され、竹野さんにかわって別の方が 「黙々」 に変って 「木考会通信」 を編集発行していたのです (現在廃刊)。しかも、すでに九号。友人は、九州でもこのような通信を出せればいいね、ひいては全国で何ヶ所かで出ればおもしろいね。そうすればあとはパソコン通信を使って記事のやり取りや、読者からのアクセスもできるしと言います。

月に一度集るというのは九州では少し苦しいかと思いますが、僕もこういう仕事は好きな方だし、試作版として、とりあえず通信を作ってみました。情報誌としてこのような通信があればとは、以前から感じていたところです。できれば、定期的な集りに合せて発行していけば、より良いのでしょうが。
まあ、今のところの不安材料として、 @長続きするかということ (僕はかってボイス オブ モドキという、モノ作りに関する通信を出していた事がありますが、途中で頓挫し、前払の通信費を踏み倒した苦い経験があります) A記事が集るかということ (あるいはネタが続くかということ、これは非常に深刻な問題であります) B本家木工会通信に流れ、九州版の方はさっぱりはけず、虚しく廃刊に追込まれる (?!)。
などが考えられます。しかし、いろいろ考えてもしょうがないので、とりあえず発行してみて、しばらくプラクティスを重ね、その中で将来的な可能性を探っていけばと思っています。

森林たくみ魁塾及び長野県上松技術専門校について

家具作りの技術修得のための学校としてときどき話題になる、両者の比較検討というわけではありません。

じつは二月に、木工仲間三名で東京へ行ってきたわけです。
金はともかく、時間だけはなんとかなる面々が、さしたる目的も無く、おのぼりさんをきめたのです。仲間の親戚から借りだしたワンボックスで、もちろん一般道を走り、関東をめざしました。その、少ない目的の一つが、とりあえず森林たくみ魁塾の卒業制作展を見るということであったのです。
森林たくみ魁塾とは、オークビレッジの稲本さんを塾長に、ビレッジ設立メンバーの佃さん庄司さんなどをスタッフに、初心者に対しては二年、経験者に対しては一年の期間で家具作りの教育を行なうというもので、基本方針としては単に家具作りだけではなく、森林生態系も踏まえた環境教育の実践なども含まれており、より広い視野を持った人材の育成をめざし、授業料は無料とし、授業料相当分は制作した製品の売上によってまかなうなどとなっています。もちろん生活費などは、塾生がなんとかしなければなりませんが。その塾の、初めての卒業制作展が開かれるというわけです。会場に入り、思わず唸ってしまうような、なかなか気合いの入った作品が並んでいるのには驚きました。デザインについてはクレノフなどの、現代アメリカンウッドワーカーの影響を感じさせるものも多く、はっきりいってオークビレッジのデザインよりも良いのではないかとさえ思えました。仕上りもなかなかでした、もっとも将来のウッドワーカーを目指し、気合いの入った連中が集っているのは間違いのない事実でしょうから (指導はヴィレッジの連中がやっているわけですけど)。

行きは山陰回りの国道九号から国道一号で関東平野に入ったから、帰りは中仙道から国道二号経由にしようということになり、甲州街道で諏訪を目指しました。当然、上松の職訓は通り道であり、ここを卒業した仲間も多いことだし、評判の良いこともあって寄っていくことにしたわけです。
木曽路は暗く、そのうえ谷合いの、河を渡った、さして見通しの良くない場所に、ぽつんと上松職業訓練校はあり、寒さに加え、みょうにじめじめした場所ということもあって、意を決し、遠くから新しい人生の再出発を試みようとして、ここを訪れた人々の不安を助長するのは明らかなロケーションであったのです。しかしながら、作品の保管されている教室に通された僕は、またもや唸ってしまったのです。かつて、僕が通った神奈川の訓練校のレベルとは較べものにならない、既製品のような家具が置かれていたからです。はっきりいって評判のいいところにはそれだけの内容があり、将来、そのような希望や目標がある場合は、とりあえず見学だけでも行ってみる意味があるなと思ったものです。
ちなみに、どうして卒業生の作品が良く見えたのか観察したんですが、一つ一つの仕上りが良いのはもちろんですが、全体が一定のレベルにあると言うか、一定のスタイルにまとまっているせいではないのかと思ったわけです。つまり、支輪の面や本体の面取りの大きさが一定であるため、いろんな種類の作品が、訓練校の作品に良く見られるように、アマチュアが好き勝手に制作したという感じがぜんぜん無いのです。教官は、我々がいちいち言わなくても自主的にやっていると言っていましたが、要点はきちんと、指導が行き届いているのかなと思った次第です。
銘々が、ため息をつきながら上松を後にしました。それぞれの場所で、それぞれの目標を胸に、気合いかけている若者がおりました。なんだか懐かしくもあり、嬉しくもあり、少し悔しくもありました。
運転手以外、缶ビール飲みながらそんな余韻話で賑わい、無計画、その場しのぎ旅は終わったのです。たまにはこういうことも学生時代のようで良いものでした。

余談ですが、その後名古屋に入り、明治村に立ち寄って帰路につきました。閉館時間が迫っており、あわてて見るに終わったのですが、明治初期からの洋風建築が広大な敷地内に点在しています。当時の人々による、西洋の文化の理解と解釈の努力のあとが感じられたように思いました。家具は思ったより少ないようでしたが、この時代の建築物が好きで、この時代の日本の洋家具を作り続けたいと思っている僕にとっては非常に良い時間でした。チャンスがあったらぜひ立ち寄ってみると良いかと思います。ただし、早い時間からでないとゆっくり見ることはできません。

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