家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

おわりに

オイル仕上について書いてきました。
これは私が最終的に選択した方法です。もう一度言いますが、オイルフィニッシュと言いましても、仕上方法やその解釈にさまざまあり、どれが良いとは一概にはいえません。私の方法はウェットサンディングを基本としています。しかし、オイルを塗って拭き取るだけの方法を選択している方もいます。定期的に塗ることができれば、その方法でも十分オイル仕上の深みと良さがでてきます。
油変性ウレタンやカシュー塗料をいくら混ぜても、その後のメンテナンスを行なわなければ、特にテーブルトップなどは、やはり最初の味わいが失われてきます。オイル仕上とはそのようにデリケートなものです。しかし、無頓着に使い込んでも、汚れはしますが、十年もすれば木材の持つ良さが出てくる。というような塗装法でもあります(手入れをしないで良いということではありませんが・・・)。

オープンポアフィニッシュが好きで、オイルフィニッシュに入れ込んで十数年以上になります。しかし、オイル仕上げの奥の深さを知ったのはしばらくたってからのことです。オイルを勉強するにつけ、塗料が少しだけ見えてきました。まだまだ、塗装や塗料に関して分からないことが多すぎ、この資料も不十分かつ、不完全です。しかしながら、この手の資料が国内に不足している現状をご理解頂き、率直なるご意見、御指摘、御質問をお待ちしております。我々、および後に続く国内のウッドワーカーのために。

追記:平成14年2月2日

オイルフィニッシュについての資料が無く、自分で調べ始めたのが 1980 年代後半です。最近の健康志向、環境への影響への理解が進むにつれ、オイルフィニッシュへの関心も高まり、今日では、様々な健康塗料としてのオイル仕上げ用塗料を購入する事ができますし、関連資料も目にする事が容易です。
まことに感慨深いものがあります。そのような今日の状況では、この資料は一つの役目を果たし終えたのかなという気もしています。

実は、私の当初の目標の一つは、オイル系塗料の改質の方法を探ることにありました (これはアメリカのテキストで、彼らが行っていたオイルとバーニッシュの混合に関する記事を読んだのが最初です。サム・マルーフの記事もその一つです)。
オイルフィニッシュには木肌を生かすというメリットはあるものの、他の一般的な塗料に比べ、多くの弱点があり、当時はそれをもって使えない塗料という認識があったのです。まだ、UV 塗料も一般的ではなく、ウレタン塗料全盛の時期で、健康面への視点はさほど重んじられていない時代でした。

結局、健康面と両立する改質は難しいし、その目標は、今となればさほど意味を持たない状況になっており、オイルのデメリットは受け入れられつつあります。
これも時代の変化ですが、それをもって我々の努力不足の言い訳にはしたくはありません。木質の良さを生かす、より良いフィニッシングを今後も引き続き模索していこうという考えに変わりはありません。どうか我々の模索と、木肌を生かすオープンポア仕上げへの理解を宜しくお願い致したいと思います。

■参考文献
藤井光雄:プラスチックの実際知識 東洋経済新報社
福島啓治:塗装実務読本 日刊工業新聞社
児玉正雄:塗料と塗装 パワー社
鶴田清治:わかりやすい塗装のすべて 技術書院
石渡淳介:最新工業塗装技術 幸書房
山岸寿治:実用塗装入門 塗料出版社
社団法人 色材協会:塗料用語辞典 技報堂出版
日本化粧品工業連合会編:日本汎用化粧品原料集 第三版 薬事日報社
12093の化学商品 化学工業日報社
建築知識 11 1993 (株)建築知識
木材塗装について 関西ペイント株式会社
インテリア事典・家具編 工作社
雇用促進事業団職業訓練部:木工塗装法 雇用問題研究会
Maloof, Sam. Sam Maloof, Woodworker : Kodansha.