家具制作鯛工房

木工旋盤 WT-300

ホームセンターで売られている非常に安価な木工旋盤です。あまりに安いため、プロのウッドワーカーの方々は購入をためらう製品ではないかと思います。同じような価格帯の商品は、私のエリアでは二種類見かけます。一種はＲｅｘｏｎ製で、もう一種が私の購入した（株)ナカトミ産業が販売しているライムグリーンのものです（写真）。これは、Ｒｅｘｏｎの同等品よりもさらに安い製品です。この旋盤を選んだ理由を以下に述べます。

• 同じような卓上タイプを英国のウインザーチェアメーカーのトム サックレー氏が使っていたということ。また、自分自身そんなに木工旋盤の使用頻度は多くないということ。
• 最大加工長さが仕上がりで９００mm である。
• 英国のアクスミンスターのカタログに、安価で同じデザインの商品がリストされていましたので、これは製造元が同じかもしれない、そう仮定すれば、そんなに悪い物ではないのではないかという思いがありました。単なる気休めに過ぎないかもしれませんが…（ナカトミ産業のお話では、中国、台湾に二三、同じような製品を作っている会社があるそうですから気休めの可能性大）。
• ナカトミ産業に問い合わせたところ、ドライブ軸内部のテーパーとスピンドルスレッドの規格がアクスミンスターのものと同じです。つまり欧米の規格と同一ですので、各種ドライブセンターやドリルチャック、スクロールチャック等の豊富なアタッチメントが取り付け可能であるということ。これは大きな強みです。
• ドライブシャフトが中空であること。これは木工旋盤購入のさいの絶対条件の一つでした。これは、スピンドルを作る際、フェイスプレートに通しの四角い穴を開けた木製のブロック（木製チャック）を取り付け、その四角穴にスピンドル用の材を打ち込んで削るのですが、取り外す際に外側からドライブシャフトに棒を挿入して加工材を取り外すために必要なのです。ラウンダーの使用例を参照してください。
• モーターが外付けであるということ。これは最悪の場合（モーターの故障、モーター取り付け部の金属疲労による致命的なダメージ等）でも、モーターを交換し、本体と切り離してでも取り付けられるということ。
• ホームセンターでも簡単に入手できる、Ｖベルトドライブ仕様であるということ。
• 各部のロックレバーがプラスチック製の非常にちゃちなもので、交換の必要性あり。値段が値段なので諦められる（注意：現在のものは金属製）。これは機械部品屋、あるいは九州木工通信Ｎｏ.７９号で紹介しました、（株）ミスミで、信頼性のある同機能のレバーが入手可能であること。
  この写真では、すでにクレームで金属製のロックレバーに交換しています。ただし、レバーのダイキャスト成型のクォリティが低いので、バリ等は自分で削らなければなりません。

以上のような理由により購入しました。多少品質が悪いなと感じる部分もありますが、この値段ですから納得できる範囲です。もしこの記事をご覧になり、購入を考えている方はけっして品質に期待をしないようにして下さい。
また、ロックレバー以外で気が付いた点としては以下の事項ですが、全て自分で調整可能なものですし、今後改善するつもりです。

• モーターの取り付け位置が適切でなく、プーリー同士の位置（水平、平行等）が出ていない場合がありますので、各自でチェック、再調整したほうが良いと思います。
• モーターの取り付け部分が弱く、負荷がかかったときに振動する。ベルトのテンションボルトを締めても限度がある（テンションボルトを締めすぎるのは構造的に不安）。
• ドライブセンターとライブセンターの位置が同一センター上でなく、ずれて取り付けられている場合がありますので、一度ツールレストベースを取り外し、ドライブセンターまでライブセンター移動し、ずれている場合はメインパイプのロックネジを緩めてメインパイプを同じ位置まで回転し、ロックすれば直ります。
• プーリーカバーは普通のロックボルトで止められていますが、不便ですし、締めすぎると相手が板金へのタッピングですので強度に不安があります。ノブに交換し、手で適度に締めるほうが良いかと思われます。

結構大きなモノまで削って見ましたが、現在のところ不都合、問題点はありません。十分使えると思います。国産の同じような製品（卓上型）の価格は十倍からそれ以上しますが、この製品でも、上記の問題点を認識した上で購入するのであれば、アマチュアの方やプロでも使用頻度の低い方にとっては特に問題ないのではないかと思われます。
また、代理店のサポートは非常に良くて安心できます。

■（株）ナカトミ産業
〒382 長野県上高井郡高山村大字高井 6445-2 / Tel：026-245-3105