家具制作鯛工房

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孤雲野鶴。鯛工房代表が綴るブログ。暮らし、生活、家具、社会。

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オイルフィニッシュ

サム・マルーフのオイルミックスチャーについて

アメリカの家具作家サム・マルーフが、自らの作品に塗っているオリジナルオイルは非常に参考になりました。このオイルは 「サム・マルーフ・オイル」 としてアメリカでは市販されています。私のオイルの混合は彼のオイルがヒントになりスタートしました。
サム・マルーフが混合しているオイルと、その割合を以下に示します。

  • 煮亜麻仁油・・・・・・・・・・・・・・・1/3
  • 生桐油・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/3
  • 油変性ウレタン樹脂塗料・・・・・1/3

まず、ボディ化した亜麻仁油 (煮亜麻仁油)と生の桐油を全量の三分の一づつ用意します。桐油は乾燥性が強いため、生のままで速やかに乾燥します。この場合は、油変性ウレタン樹脂塗料の乾燥に引っ張られて、より早く乾燥します。桐油を加える意味は耐水性、耐湿性を増したいためです。ただし、桐油の割合が高くなりすぎると艶がなくなるので注意する必要があります。この場合は、艶のあるウレタンを混ぜるので艶が無くなるということはほとんどありません。最後に酸化乾燥型油変性ウレタンを三分の一加えます。前述したように、これはオイルの乾燥を早めるということに加え、耐水性、耐湿性、さらには塗膜硬度の向上が目的です。

■混合用の油変性ウレタン樹脂塗料についての注意事項

ウレタン樹脂塗料にもいろいろな種類があり、二液性油変性ウレタン樹脂塗料ではなく、一液性で溶剤がミネラルスピリット(塗料用シンナー)を用いるタイプのウレタンでなければオイルとは混ざらない場合があります。
例外的に、二液性油変性ウレタン樹脂塗料の中でも、塗料用シンナーを用いるタイプがあり、これは混合可能です。一液性の油変性ウレタンよりも塗膜の物性が良く、乾燥が早いという特徴を持っています。オイルへの添加・改質用として最適です。主剤、硬化剤ともに硬化が早いので、我々のような工房での使用の場合、少量づつ購入したほうが良いかもしれません。
このタイプの塗料について私の認識している範囲では、九州塗料工業(株)で製造されています(製品名:グレーズ オイル #200/旧品名:ウッディガード #2000)。

一液タイプでも、湿気硬化型油変性ウレタンと酸化乾燥型油変性ウレタンがあり、間違いやすいので注意する必要があります。湿気硬化型ウレタンは空気中の湿気と反応し硬化するタイプですから、オイルと混合するには、オイルの酸化乾燥のプロセスと同じ、酸化乾燥型油変性ウレタンのほうが良いといわれています。
使用する材料の含水率が20%前後のような場合は、オイルの乾燥が非常に遅くなります。この様な場合は二液性油変性ウレタン塗料でも、硬化剤の主成分であるイソシアネートが木材の水分と先に結合してしまい、乾燥は著しく遅れますので使用する意味はありません。このようなケースでは、湿気硬化型ウレタン塗料で下塗りをするという使い方もあるかと思います。個人的にはそのような高含水率の材料はほとんど使うことはありませんし、試したことはありませんが…。

気温が10℃ を下回る場合はオイルは乾燥に非常に時間がかかります。油変性ウレタン樹脂塗料を混合するメリットの一つは乾燥時間を早めることができるということがあります。さらに寒い時期、地方の場合は、塗料用シンナー(ミネラルスピリット)を用いるタイプの二液性油変性ウレタン塗料を混合すること により、乾燥を早めることが可能です(夏場は乾燥が早すぎますが)。

オイルに油変性ウレタン等を混ぜるのは効果的なのですが、混ぜすぎますと、当然、薄く木部表面に塗膜が形成されます。その場合、テーブルトップなど、使用条件の厳しい部分の場合、安物のラッカー塗装のように、部分的に剥げたようになる場合があります。これを解消するには三点考えられます。第一には、樹脂分やウレタン等の混合率を高め、かつ、もっと厚塗りにする。第二は、なるたけ塗膜が形成されないよう、混合量を増やしすぎないようにする。第三に、メンテナンスをきちんと行なう。少なくとも、年一回くらいテーブルトップだけでも再塗装すると良いのですが・・・。
お分かりのように、混合量を増やしていくと、限りなく塗膜仕上げに近づいていきます。それを避け、木肌の良さを生かすためには、製品表面に塗膜がほとんど形成されないようにするしかありません。つまり、混合量を増やしすぎないということです。テーブルトップ、デスクトップなどの甲板類以外は、それほど問題になりにくいのですが、いずれにせよ、オイルフィニッシュは汚れ易いということを、お客さんには十分理解してもらったうえで施す仕上げであろうと思います。


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