家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

はじめに

椅子の座面に木材以外の素材を用いたものは非常に魅力的です。座り易いし、デザイン上も可能性を感じます。ファイバー ラッシュ(ペーパー コード)で張られた座面を持つ北欧製の椅子や、シェーカーのサイドチェアの綿テープ張りの椅子はその代表例だと思います。
コードやテープ張りのシートは、

  1. 座りごこちが良い。
  2. デザインの幅が広がる。
  3. 椅子の軽量化につながる。
  4. 椅子の印象が和らかいものになる。

などの特徴やメリットがあると思われます。しかしながら、いざ自分自身で座面を編もうとした場合、材料をどこで購入したら良いのか、あるいは、調達できる種類が判らない。編み方がわからないし、それを紹介したテキストもほとんど見かけないというのが現状です。さらに海外のテキストを参考にして編もうとしても、うまくいかない場合も多々あります。それは手順のイラストに間違いながあったりで、私自身の経験からいってもなかなか難しい状況があるように思います。

今から10年以上前にスラットバック チェアを製作する際、初めてファイバー ラッシュによる座編みを試みました。しかし、材料の入手の当てがありません。最初に思いついたのは、デパートなどで使われている手さげ袋の取っ手の紙紐が使えないかということでした。その紙紐をようやく入手することができましたが、北欧製の椅子に使われているものとは材質が違います。軽くて柔らかく、フカフカした感じです。北欧製の製品のイメージとはほど遠く、使えそうもない感じがしました。次の問題は「編み」です。海外のテキストを見て編み始めましたが、なかなかうまくいかず、友人から「Y-チェア」を借りてきて、ほどき、編み方を確認して何とか編み上げることができました。後は数をこなし、熟練する他ないと感じました。その後の試行錯誤で、同じ仕上がりでも編み方には何種類かあること、また、日本国内では、一般的に販売されていない椅子編み用の材料も、個人輸入によって欧米から入手可能であることが判りました。

最近は、家具工房で作られたファイバー ラッシュ編みの椅子を見かけるケースも増えましたが、座編みに関しての資料はまだまだ不足しているように思われます。現時点で分かる範囲でまとめてみました。