オイルフィニッシュ用塗料の各構成要素について / 植物油
■主要な植物油について
オイル仕上げに関係の深い代表的な植物油として、次のような種類が挙げられます。
- (1) 支那桐油(チャイナウッド オイル / タン オイル)
- 中国産「あぶらぎり」の種子から採取される油で、北米でも採培されているそうです。中国では、古くからジャンクの船体にこのオイルが塗られており、欧州にはマル コ・ポーロによって紹介されました。ヨウ素価は比較的低いが、共役二重結合があるためで、乾燥性は荏油よりも強く、塗膜は非常に耐水性がよく、また比較的アルカリにも耐えます。重合性が著しく、耐候性のよい硬い塗膜を生じるから、他の乾性油と混ぜてペイントに用いられ、また、油ワニスの主要な原料でもあります。
- (2) 荏油
- 「荏胡麻」から採取されます。中国が主産地で、わが国でも少量産出されています。乾燥性が強く、光沢、耐水性、耐候性の優れた皮膜を生じますが、塗膜のやけは著しい特徴があります。和傘に塗ってあるのはこのオイルで、あの独特な匂いもこの油のものです。
- (3) 亜麻仁油(リンシード オイル)
- 「亜麻」の種子から採取される油で、ソビエト、北米、インド、アルゼンチンが主産地で、我国では北海道で少量産出するそうです。塗料用として最も代表的な乾性油で、荏油についで乾燥性が強く、塗膜の耐水性、耐候性も優れています。
- (4) 麻実油
- 「大麻」の種子から採取され、欧州、米国などに産し、我国でも古くから栽培されています。乾燥性、耐候性などは亜麻仁油に劣りますが、塗膜の「やけ」は少です。
- (5) 大豆油
- 「大豆」から採取される油で、中国北部が主産地ですが、近年では北米でも大規模に栽培されています。乾燥性や塗膜の性状はかなり劣り、単独では塗料に使用しにくいが、主として他の乾性油と混合して用いられています。
- (6) 日本種桐油
- 国産「あぶらぎり」の種子から得られます。北陸地方に多く産します。性質は支那桐油に類似しますが、乾燥性、重合性、塗膜の性質はいずれも支那桐油に比べ劣っています。
- (7) 脱水ヒマシ油
- 「ヒマ」の種から得られるヒマシ油の主成分はリシノレイン酸で、二重結合は一個でほかに水酸基があります。したがって、ヒマシ油には乾燥性はなく、油性塗料には使用されません。しかし、脱水反応を行うと、水酸基が失われて、乾燥性、重合性の強い油が得られます。これを脱水ヒマシ油といい、油ワニス、その他に使用されます。脱水ヒマシ油は桐油と亜麻仁油のほぼ中間の性質を持ち、重合速度は桐油に比べて遅く、桐油のように急速に凝固しません。塗膜の乾燥性、耐水性、耐アルカリ性などの性質も桐油につぎ、乾燥性の強い他の油に比べ「やけ」が少なく、硬度は劣りますが弾性に富んだ塗膜を形成します。