家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

オイルフィニッシュまとめ

最後に、オイルフィニッシュについて、要点を簡単に述べたいと思います。

オイルフィニッシュを一言でいうと、木肌を生かす塗装です。
木肌を生かす以外に、この塗装のメリットは「無い」と言ってもいいかと思います。

表面に塗膜はほとんどありませんので、食品、手垢などで木肌は汚れます。
木材は、湿度の影響を受けて容易に伸縮します。
梅雨時は、カビが発生する場合があります。
オイルが乾燥するまでに、非常な日数を必要とします。

およそ、通常の塗装に求められる目標のほとんどを満たしていません。
それらの欠点と引換えに得られるものは、木肌の温かみを感じるということだけです。
メリットはその一点だけですが、塗膜を形成する他の塗装法では、不可能なのです。

それを理解してこの塗装法を選択すべきです。
或は、制作者からのオイルフィニッシュの提案を受け入れるべきだと思います。

オイルフィニッシュの本当の仕上りは、10年や20年後だと思っています。
今では、骨董屋でしか見ることは出来ないかもしれませんが、欅でできた長火鉢のようになっていくと考えればいいかと思います。

そのような仕上げ法は、

オイルフィニッシュ
ワックスフィニッシュ
ノンフィニッシュ

だけだろうと思います。
塗装をしなくても、永く使えば、使い込んだ良さが出てきますが、最初は白っぽいので違和感がある場合もあります。また、逆にそのよさを生かした、北欧の椅子もあります。

オイルを塗りますと、濡れ色になり、あるいは、(仕上げ方法によっては)多少の光沢が出て落ち着いた雰囲気になるわけです。

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市販されている、2液性のオイルフィニッシュ塗料があります。
乾燥性の良さ、塗膜強度が高いのが特徴ですが、その分硬質感が出て、オイルフィニッシュの温かさが失われる傾向があります。

オイルフィニッシュに乾燥性の速さと、塗膜強度を求めると、通常の塗装に限りなく近づいていきます。
しかも、表面に薄い塗膜が残ると、それが磨滅し、通常の塗装が剥げたのと同様な状況になる場合がありますので注意しなければなりません。

オイルフィニッシュを選択する場合は、基本的に乾燥性の速さや、塗膜強度を求めてはいけないと言うのが、永年オイルフィニッシュを行ってきた我々の結論です。

そうは言っても、オイルの乾燥には大変時間が掛かります。
木材内部で未乾燥状態のオイルが存在した場合、特にテーブルトップ等では、始終水拭きされますので、オイルが変質する可能性があります。
そのため、我々は少量のカシューを混ぜています。その意味は以下になります。

乾燥促進
漆の光沢感
しっとりとした手触り感
塗膜強度の向上

機会がありましたら、一度、カシュー(No.53 透)を試してみて下さい。

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オイルをただ塗って拭取るだけでは、カサついた感じに仕上がります。やはり、ウェットサンディングが重要です。

その場合、あまり細かい番数のサンドペーパーでサンディングしないことです。
漆仕上げとは違いますので、細かいサンディングは不必要です。それによって、光沢仕上げになったとしても、使用者によって濡れた布巾で拭かれれば、光沢はすぐに消えます。
詳しくは「塗装法」をご覧ください。